めずらしく仕事の話。
数年前からうちの会社ではサーバのインフラとしてAWS(Amazon Web Service)を使用しています。それまでは、レンタルサーバを借りてうんぬんみたいなことをやっていたわけですが、クラウドの便利さに慣れてしまった今では想像もできません。
サーバが必要になったらすぐに追加できる。これは開発者にとってはすごくありがたいことです。スペックも必要最小限なところからスタートできるので、コスト的にも安心です。その反面、長期間稼働させるとなると高くつくわけですが、それよりも便利さが勝ちます。
サーバを立ち上げるEC2の他にも、AWSでは様々なサービスが用意されていますし、日々増え続けています。よく使うのは、ストレージのS3、データベースのRDS、アプリケーションのデプロイにElastic Beanstalk、環境の構築にCloud Formation、DNSにRoute 53あたりでしょうか。
AWSの他にも、Google Cloud Platform、Microsoft Azureとか色々とありますが、これだけ充実したサービスを提供されると、AWSでいいかとなってしまいます。
だけど、今担当している動画サイトで、AWSのデータ転送料金が高すぎてサーバコストがヤバかったので、さくらインターネットのさくらクラウドに移行しました。
AWSのデータ転送料金が高い
クラウドでは使用量に応じて色々と料金がかかってきます。
サーバを起動していれば起動時間に応じて料金が発生しますし、ストレージであれば容量に応じて料金が発生します。
動画を扱うということで、エンコード処理するためにハイスペックなサーバを用意したり、大量のストレージを使用するため、ある程度はサーバコストは高くなることは想定していました。
想定していなかったのがデータ転送料金です。AWSでは、アウト(インターネットに出て行くデータ量)に対する料金が一番高くなると思います。
これまで担当してきたものでは、このデータ転送量はゴミみたいなものだったので気にしていませんでしたが、動画サイトでは日に日に増えるトラフィックに比例して料金がぐんぐんと上昇していき死活問題になりました。
ざっくり計算、$0.13/GB * 100TB/月 = $13,000 = 約130万円。わーお。
その対策としてやったのが、さくらクラウドへの移行です。
さくらクラウドはデータ転送が定額
さくらクラウドは、こういったクラウドサービスの中で唯一(だと思う)、データ転送料金が定額です。
さくらクラウドではルータ+スイッチってやつを使います。ルータ+スイッチを使わないと100Mbps共有のネットワークを使うことになります。
ルータ+スイッチは100Mbps/500Mbps/1000Mbps/1500Mbps/2000Mbps/2500Mbps/3000Mbpsが用意されていて、データ転送のピークに合わせて選択します。それ以上の帯域が必要になる場合は、ルータ+スイッチを複数用意する必要があります。
移行時点でデータ転送のピークは2000Mbps程度だったので、3000Mbpsのルータ+スイッチを使いました。3000Mbpsは月額で324,000円。それなりのお値段ですが、このピークに収まる範囲の通信であれば、どれだけ転送しても定額。AWSの130万円に比べれば格安です。
ルータ+スイッチの仕様には、月間のデータ転送量が多いと帯域制限がかかるとあるのですが、さくらインターネットに確認した感じでは、特に制限かけないみたいな雰囲気でした。
機能面ではAWSに劣るさくらクラウドなので、動画に関するサーバのみをさくらクラウドに移行し、アプリケーションサーバやデータベースなどはAWSを使用する構成で落ち着いています。
個人で運営するブログやサービスでは、ここまでネットワークを使用することはないと思いますが、データ転送量に比例する料金体系のサービスを使用していると、急にバズってしまった場合にトラフィックが増えて辛い思いをする可能性があります。
便利なクラウドですが、こういった点を意識して利用していかないといけないですね。